ご挨拶

 内燃機関は、将来的にも自動車の動力源として主要な位置を占めることが予測されており、CO2および有害排気物質の削減を始めとする環境問題や資源問題への対応は、引き続き重要な課題となっています。したがって、我が国の主要産業の一つである自動車産業の国際競争力を維持し続けるためにも、内燃機関に関する研究能力を日本全体で強化させていく必要があると考えます。本組合は、日本の内燃機関に関する基盤技術の強化と次世代を担う産学双方の研究開発人材の育成の2つを理念に掲げて2014年4月に設立され、現在は自動車メーカー9社と研究機関2団体で構成されています。

 本組合では、日本の自動車メーカーが協調して共通の課題を設定し、大学・研究機関の英知により研究を推進していくという、これまで日本ではあまり例の無かった産学官連携に取り組んでいます。この取り組みは緒に就いたばかりですが、少しずつ成果も出始めています。さらに有用な成果の創出に向けて、エンジンシステム各要素の現象解明結果をモデルベース開発に活用していくための「モデル事業」を研究活動の主要な柱とすることにしました。

 また、本組合の取り組みと理念に共感していただき賛助会員になっていただいた企業も60社を超えました。今後は、これらの企業の皆様とも一緒になって、さらに活動を充実させるべく、将来のあり方と組織形態についての検討も進めており、今年中には結論をご案内させていただく予定です。

 本組合は、研究活動を通じて、理念に掲げる“日本の内燃機関の基盤技術の強化”と“日本の研究開発人材の育成”を目指すとともに、この取り組みの輪を更に多くの大学・研究機関・企業にも広げ、日本の産業技術の発展に貢献できるよう努力を続けて参ります。

自動車用内燃機関技術研究組合 理事長 平井 俊弘